■ ウォルトン 交響曲第1番 (2002.4.7)
東京フィルハーモニー交響楽団 第656回 定期演奏会(2002.4.5)で、ウォルトンの交響曲第1番を聞いた。指揮 尾高忠明。ウィリアム・ターナー・ウォルトン(1902-1983)は、ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)の前の世代。ちょうど今年は生誕100年とのことだ。
ウォルトンの交響曲は、野本由紀夫さんの解説にあったように、まさに映画音楽であった。西部劇を思わせる、大平原を駆け抜ける爽快さを感じた。聞きやすいハーモニー、押しつけがましさはない。リズムを強調、ティンパニの打撃が要所を締める。最終楽章では、2組のティンパニが活躍するのである。オーケストラ演奏には特に注文はありませんでしたが、もう少し歯切れの良い指揮――たとえばショルティ風も、面白いなと。
ウォルトンはこの交響曲第1番の作曲には苦戦したようだ。1932年にアレグロの主題を書き始めたが、挫折。難産の末、完成したのが1935年とのこと。第1楽章は、アレグロ・アッサイ(かなり快速に)、ソナタ形式。第2楽章 プレスト・コン・マリッィア(急速に、悪意をもって) 第1楽章の拡張の感。リズミックでスケルツォ風。第3楽章 アンダンテ・コン・マリンコニア(憂鬱なアンダンテ) 夜の音楽風ではあるが、深刻ではない、晴朗感がある。第4楽章 マエストーソ(堂々と) フィナーレが華々しい、打楽器の活躍が目立つ。
カタログを見ると、ウォルトンは他にいろいろ作曲している。歌劇とかバレエ音楽、交響曲は第2番まで。Vn協奏曲、オラトリオも。そして映画音楽では、お気にめすまま、ヘンリー3世、ハムレット等々。手持ちのCDを探したのだが、残念ながら見つからなかった。これから注意してみましょう。
[楽器構成] フルート2(ピッコロ)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ2、打楽器(シンバル、ミリタリードラム、タムタム)、弦楽5部