■ 横フィル 定期演奏会 サン=サーンス オルガン交響曲 (2000.11.4)

横浜フィルハーモニー管弦楽団 第44回定期演奏会を聞いた。2000年11月4日(土)。横浜みなとみらいホール・大ホール。ベルリオーズ 序曲《ローマの謝肉祭》、ドビュッシー 《小組曲》から、サン=サーンス 《交響曲第3番 オルガン付》。指揮/横島勝人。オルガン/関本恵美子。

サン=サーンスの《交響曲第3番》は、なかなか実演で聞く機会がない。このところ各地にオルガン付きのホールが建設されるようになって、演奏の機会も増えたようだ。電子オルガンでごまかした演奏では迫力がない。やはり本物のパイプ・オルガンの期待が大きい。

このサン=サーンスの交響曲は構成が、まさに起承転結そのもの。演奏効果満点の傑作である。大きくは2部に分かれるが、実質的には4楽章。静かな木々のざわめきを思わせるテーマの第1楽章から始まる。第2楽章で、オルガンが静かに入る。オルガンの低音に弦合奏が重なる。楽章を通して終始、瞑想的な響きが続く。第1楽章で提示されたテーマが第3楽章では派生する。強いアタックがリズムを刻む。ピアノも参加。トライアングルがきらめく。第4楽章は、オルガンのマエストーソ(威厳をもって)で開始、さすがに楽器の王者としてのオルガンの威力が抜群である。ヴァイオリンのフォルテ、金管の強奏、ティンパニの連打、豪快なクライマックスで幕を閉じる。

演奏は熱演であった。最初のさざめくようなテーマはちょっと合奏が難しい様子。金管も弱奏のときには聞いている方が緊張してしまう。CDの誇張された録音に馴れているためだろうか、オルガンの響きに最初は物足りなさを感じた。しかし、ホールを静かに揺るがせるような最低音はオルガンの実演の醍醐味を発揮。第2楽章が耳に残る。最終楽章は「結」に相応しく圧倒的であった。指揮も最初は練習の成果を確かめるようなテンポであったが、楽章を追って熱が入る。暗譜で頑張る。よく整理された演奏であった。とにかくアマチュア・オーケストラとしてピアノまで揃えてフル・オーケストラでの演奏は準備・練習を含めて大変な苦労だったと推察される。大ホールでのオルガン演奏の魅力と共に楽しめた演奏会であった。
蛇足:アンコールは不要と思いました。

横浜フィルハーモニー:1977年の発足。およそ年2回のペースで定期演奏会を開催。ほかに市内各地でのボランティア演奏会など活動の幅をひろめている。団員は81名で社会人が中心。子供連れで練習に参加する団員も増えたとのこと。

◆指揮者 横島勝人:1964年 大阪生まれ。1982年大阪音楽大学入学。同大学卒業後1990年まで高槻市音楽団の常任指揮者を務める。1990年ウィーン留学。1998年には、オランダのアムステルダムのキリル・コンドラシン国際指揮者コンクールで、ベスト8に選ばれる。1999年12月、ウィーンの楽友協会ホールでトーンキュンストラー交響楽団でベートーヴェン交響曲第9番を指揮、大成功をおさめウィーンデビューを飾る。

◆オルガン 関本恵美子:東京芸術大学卒業。同大学院修士課程修了。オランダ、フランス、スイス、ベルギー等の国際オルガン・アカデミーに参加。恵泉女学園大学オルガニスト、日本キリスト教団霊南坂教会オルガニスト。

・当夜の演奏会の写真は残念ながらピンぼけでした。




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