■ 『バカの壁』 この壁はどこにでもある (2004.8.9)

先夜のサッカー アジア・カップ決勝戦、中国対日本。日本の勝利で終わったが、あの中国観衆のものすごいまでの日本チームへのブーイングは何か。中国侵略の過去の歴史の存在は理解できる。また、最近の中国の経済発展に対して、取り残された民衆の不満のはけ口として日本が選ばれている側面もあるかもしれない。双方の間に「カベ」があるのは確かだ。

本書は、すでに隠れもなきベストセラー。古本屋の100円均一棚に並んでいたので、遅ればせながら手を出してみた。

われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。壁の内側だけが世界で、向こう側が見えない。向こう側が存在しているということすらわかっていなかったりする。イスラム原理主義者と米国等々、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているという。

自分が知りたくないことについては、自主的に情報を遮断してしまう。ここに壁が存在している。これも「バカの壁」。

硬直的な考えをせずに、柔軟に取り組むこと、だと言っているのがテーマだろう。安易に「わかる」、「話せばわかる」、「絶対の真実がある」などと思ってしまう姿勢、これを排し、多様な考えを認めることだと。

……これだけ、と言ってしまったら身も蓋もないか。


◆ 『バカの壁』 養老孟司著、新潮新書、2003/4


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