■ 『海軍士官候補生』 ホーンブロワーは17歳  (2017.5.24)

本書の存在は、司馬遼太郎の紹介文によって知った。英国の海洋小説家フォレスターの生み出した、艦長ホーンブロワーの活躍する冒険小説だ。

司馬遼太郎は『街道をゆく』のなかで、次のように述べている。
……英国がうんだ海洋小説の作家セシル・スコット・ファレスター(1899-1966)は、艦長ホーンブロワーを創りだして世界じゅうに読者をもちつづけている。
私は、海軍にも海についても、暗い。かつて『坂の上の雲』を書いたとき、せめて書斎の中で海を知ろうとした。
当時の私は、まず海軍という特異な、"文明"を開発した英国の、それも帆船時代のことから、知ることをはじめたかった。
ところが、どういう書物よりも、フォレスターの"ホーンブロワー"ものからもっとも多くのことを教わった。風と操帆の方法、海流と操船のしかた、甲板の作法や労働から海戦の仕方とその美学的伝統にいたるまで、ホーンブロワーによって、初歩から高等技術まで、手をとるようにして教えてもらった。1冊をよむごとに、1冊ぶんだけ掌帆の腕があがり、しまいには下士官の長である掌帆長(ボースン)にでもなったような気がした。
作家のフォレスターは、連作の最後のころに『ホーンブロワーの誕生』(高橋泰邦・菊池光訳。ハヤカワ文庫)を書く。そのなかに、アイルランド人のことがしばしば登場するのである。ただし、いい役まわりではない。水兵にはアイルランド人が多かった。……
   ◆『街道をゆく31 愛蘭土紀行U』(司馬遼太郎、朝日文芸文庫、1993/7)から


本書『海軍士官候補生』はハヤカワ文庫の海の男/ホーンブロワー・シリーズの第1巻である。
裏表紙の紹介文を引用すると

…… 英仏海峡を1月の疾風が吹き渡る中、英国海軍錨地スピットヘッドに錨泊中の戦列艦にに一人の士官候補生が乗り組んだ。名前はホレイショ・ホーンブロワー、17歳。はにかみ屋で船酔いにかかりやすい彼は、とかく周囲から軽視されがちだった。が、あまりに横暴なさる先任候補生に対しては、剛胆にも決闘を申し込む。やがて、勇名はせるペルー艦長のフリゲート艦へ転属となるものの、そこで与えられたのは経験の浅い彼の手に余る困難な任務だった!18世紀末から19世紀にわたる海の勇者の活躍を描き、世界中で愛読される不滅の海洋ロマン登場!

◆ 海の男/ホーンブロワー・シリーズ<1> <NV36> 『海軍士官候補生』セシル・スコット・フォレスター/高橋泰邦訳、ハヤカワ文庫NV、昭和48(1973)/2発行、昭和61(1986)/4 15刷
    <Mr.Midshipman Hornblower by Cecil Scott Forester>

 


<ハヤカワ文庫 海の男/ホーンブロワーシリーズ>
●@ 『海軍士官候補生』
●A 『スペイン要塞を撃滅せよ』
●B 『砲艦ホットスパー』
●C 『トルコ沖の砲煙』
〇D 『パナマの死闘』
〇E 『燃える戦列艦』
〇F 『勇者の帰還』
〇G 『決闘!バルト海』
〇H 『セーヌ湾の反乱』
〇I 『海軍提督ホーンブロワー』
●別 『ホーンブロワーの誕生』

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