■ ヤナーチェク :《イェヌーファ》 (2016.3.2)
新国立劇場 2016.3.2(水)
このオペラの実演に接したのは、かなり前の二期会の公演だった。⇒ こちら
今回の新国立の公演は、「モノトーンの心理劇」といった印象だ。
舞台は、簡素な机と椅子があるだけの、そっけない室内空間。劇は、終始この一室室で展開される。あきらかに閉鎖的・抑圧的な心理空間を示しているのだろう。中欧の片田舎の出来事ではなく、舞台を現代のビジネス空間を設定しているのか
第1幕に登場するイェヌーファは深紅の衣装をまとって出てくる。これは、このオペラの主人公が悲劇を演じているのはない、というメッセージなのか? 第2、3幕は白/黒を基調とする落ち着いた衣装だった。
やはりコステルニチカが主役なのだろう。しっかりした歌い振りでヴェテランか。男性陣のシュテヴァとラツァの2人のメリハリが弱くないか。ラツァの純朴ぶりが伝わってこない。
オケは東響。響きやアンサンブルがイマイチの様子に聞こえたのだが。金管など頑張りの気分は伝わってきた。指揮者はカーテンコールの風貌では、まだ若いのかと見えたが。緊張場面での「間」がやたらと思わせぶりに長かったのでは。
ヤナーチェクの音楽。第2幕など静穏な場面から劇的な展開などに感心。最終幕の金管の総奏は、晩年の《シンフォニエッタ》に強く通じる響きだ。歌唱はチェコ語だったのかな。
<出演>
指揮:トマーシュ・ハヌス
管弦楽:東京交響楽団
演出:クリストフ・ロイ
ブリヤ家の女主人:ハンナ・シュヴァルツ
ラツァ:ヴィル・ハルトマン
シュテヴァ:ジャンルカ・ザンビエーリ
コステルニチカ:ジェニファー・ラーモア
イェヌーファ:ミヒャエラ・カウネ