■ 『バイオリニストは肩が凝る』 お酒も大好き (2007.1.20)



かねてザ・キット屋さんの店主日記で、鶴我姉の令名を聞き及んでいました。
タンノイのスピーカを買い入れたとは本文中にもありました。
著者はN響のヴァリオリン奏者。最近はお顔を覚えましたので演奏会のTV中継でもよくわかります。
ブックオフをたまたま漁っていたおりに本書に遭遇し直ちにゲットしたような次第。

楽しい本です。ユーモアもたっぷり。あっけらかんとしたお人柄や豪快なお酒の飲みっぷりが見え隠れするのも魅力。途中に挟まれているイラストも、サヴァリッシュとかシュタインとかの指揮者の特徴を捉えて秀逸である。素人技とは思えません。

もちろんオケの奏者からみた指揮者のストレートな評価があります。
ホルスト・シュタインの人柄に惚れ込んでバイロイト音楽祭まで追っかけていくんですね。
シュタインこそ理想の男性だったとのこと。もっとも「私は面食い」とのコメントがありますが。

著者とはほぼ同年代のようだ。たしかにNHKラジオの「希望音楽会」はあこがれだった。
日曜の午前(私の記憶は土曜日の午後なんですが)に、アナウンサー(後藤美代子さんでした)の導入とともにテーマ曲が始まりましたが、あの「パガニーニの主題による狂詩曲」に胸がときめいたものです。

それにしても、音楽家にすばらしい文章を書く人が多いですね、岩城宏之・中村紘子・青柳いずみこ等々。
何故か?音楽家にはいわゆるソナタ形式が染みついているのではないか、というのが私見である。最初にテーマを提示して、それにバリエーションをつけて展開する。そして最後は落ちをつけてちゃんと結尾に導くというソナタ・スタイルだ。暴論かな


◆『バイオリニストは肩が凝る』鶴我裕子、アルク出版企画、2005/6
→ 本書は改題されて、新潮文庫に収められている。『バイオリニストは目が赤い』I我裕子、新潮文庫、平成21(2009)/12



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