■ 『遠藤諭の電脳術』 香港電脳マップ (2000.10.7)

『遠藤諭の電脳術』を読んだ。
コンピュータのデータとかメモリの単位はバイト(byte)ですね。普通はこの千倍のメガバイト(MB)を使います。コンピュータがデータを食べるように見えるから、「bite」(ひとかじり)の意味の「byte(バイト)」となったとのこと。アップル社のリンゴマークのかじった部分は「バイト」にかけたもの。「単位の話」では他にビットとかミップスなどを取り上げています。著者の意図は、単なる説明に終わらずに、その言葉の生い立ちや歴史を伝えたいということらしい。

本書は朝日新聞に1996年から2000年4月まで連載されたコラムと、「本とコンピュータ」の「単位の話」を合わせて収録したもの。著者は日本を代表するパソコン雑誌『アスキー』の編集長です。パソコンの専門家だけに、実際に使う上でのノウハウが詰まっています。なくし物発見術(これは検索ツールの使い方)とか、パソコンで辞書引き、パソコンで録画、携帯電話で書く・読む等々いろいろ参考になりました。

平均して600文字強のコラム。内容もさることながら、その文章のスタイルに感心しました。すいすいと気楽に読める文章にもかかわらず、簡潔にして要を得ています。一見して、その辺のホームページに書き散らしてあるいい加減な文章(おっと!他人事ではありません)の雰囲気なのですが、実はかなりの年期が隠れているのがわかります。

一例として。もう旧聞ですが、「2000年問題を手際よく説明せよ」と言われたらどうでしょうか。この本ではこうです。
「コンピュータが日付を扱うときに、年を西暦の下2桁でしか覚えないために起こるトラブルのこと。1998年は「98」という2桁の数値しかコンピュータは見ないから、2000年の「00」よりもあとの年のように見える」。実に無駄のない文章です。内容をきちんと伝えて過不足がありません。

蛇足。私は、香港の電脳マップの案内図として読みました。


◆『遠藤諭の電脳術』遠藤諭著、アスキー、2000/6


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