■ 『それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実』 (2001.6.10)




いま話題のリナックス(Linux)の本を読んだ。『それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実』(2001/5)、 著者 リーナス・トーバルズ、デイビッド・ダイヤモンド、訳者 風見潤、発行 小学館プロダクション。


フィンランドでは大学教育は無料、識字率も世界でもっとも高いそうだ。携帯電話で世界シェアNo.1のノキアもフィンランドのメーカーである。いま話題のパソコン用の基本ソフト(OS)――「リナックス(Linux)」を開発したのは、フィンランドの大学生、リーナス・トーバルズであった。彼は、自分の使いたいOSとして、独自のOSを自らの手で作り上げた。

本書はトーバルズが語るリナックスの誕生史である。そして「オープンソース」という新しい開発スタイルの提案でもある。

トーバルズはもちろんコンピュータ・オタクであった。大学に入っても、本やコンピュータ機器を山のように集め、新しいゲームのプログラムに熱中した。そんな中で1冊の本に熱い衝撃を受ける。オランダのコンピュータ学者が書いた『オペレーティングシステム―設計と理論およびMINIXによる実装』。ミニックスは、ユニックスを知るための補助教材。ユニックスは「小さいものは美しい」という哲学に支えられている。

『ユニックスという考え方』

自宅のパソコンから大学のコンピュータにアクセスするための小さなプログラムが、多くの機能が加わってOSへと変貌する。リナックスが実用に耐えるOSとしてバージョン1が発表されたのは1994年である。ペンギンがリナックスのシンボルになったのはその後。

リナックスの開発は「オープン・ソース」という<ルール>に支えられている。ソースコードは無料であり、誰もがそのソースコードを改良し、変更して活用することができる。そうした改良や変更や活用もまた無料で提供されなければならない。プロジェクトは誰か一人のものではなく、みんなのものなのである。あるプロジェクトが公開されると、素早く、たゆみない改良が開始される。このルールは、仲間内の評価という比肩するものもないシステムに支えられている。

さらに、オープンソース/リナックスの両方が支持されている理由の一つに、反体制感情があるという。巨大で邪悪なマイクロソフト&いやってほど金持ちなビル・ゲイツ対ぼくらは愛で一つになって、みんなのためのフリーソフト&エゴのまったくない(ように見える)庶民のヒーロー、リーナス・トーバルズ、というわけだ。


◆『それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実』リーナス・トーバルズ、デイビッド・ダイヤモンド著、風見潤訳、小学館プロダクション、2001/5

◆リーナス・トーバルズ 1969年、フィンランド生まれ。ヘルシンキ大学在学中にコンピュータのOS、Linux (リナックス)を開発する。全てのコードを公開するオープンソースの考え方でサーバー・マシンのOSで4分の1のシェアを誇る。日本でも日本IBM、NEC、富士通、日立など大手メーカー各社がこぞってリナックスを採用している。


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