■ 「超」整理法と電子ファイリング (1999.7.18)
今回は、とりあえず捨てる技術ということで、「バッファー」という斬新な解決策を提案しているとのことだが、前2作ほどの目新しい提案とは思われなかった。
基本は、.電子情報は捨てないこと、検索はパソコンのGREPコマンドに任せることであろうか。また、電子情報に「出口」は必要ない、蓄積したデータを活用することが重要とのこと。
前作の「超」整理法に刺激を受けて、私も「押し出しファイリング」をやってみた。机上にちらばった書類をまとめ、適当な名前を付けて日付と共に紙袋に記入して、時間順に並べる方法である。確かに一時、机の上はさっぱりときれいに整理される。しかし、しばらくこの方式を運用するうちに、欠点が目に付いてきた。まず、内容を確認するためにいちいち紙袋を開けるのが面倒である。それから、ついこの間作ったのと同じ名前の紙袋をだぶって作ってしまう。以前に同じ内容の紙袋を作ったことを忘れているのである。
結局「整理法」というのは、個人の仕事スタイルや趣向に大きく依存するものであろう。ある人が、これしかない、これこそ最高という方法が、別の人に必ずしもぴったりすることはない。自分で編み出すしかないようである。また、整理(特に捨てること)のための時間が取れないことが、最大の課題と思われる。アウトプットに結びつかない「整理作業」には、わざわざ時間を割いて取り組もうという意欲が落ちるのである。今、整理方法としては、いわゆる山根一眞方式と押し出しファイリングを併用している。
さらに、この本では電子ファイリングについて言及している。
ナンセンスな電子ファイリング
紙の書類をスキャナで読み込んで電子データに変換し、パソコンに記憶させようというもの。スキャナで読み込む作業が面倒だから、大変な手間と時間がかかる。仮にパソコンに格納できても、あとの処理が面倒である。まず、目的の書類を探し出すのが面倒だ。紙の書類なら、一覧して探し出せる。
このシステムの設計者は、「電子形態にすればスペースを節約できる」という点に目をくらまされて、データ処理作業の本質を見失っているのである。紙のほうがずっと効率的にできるものを、わざわざ面倒にしただけのものになっている。
電子ファイリグについて痛烈な批判的見解である。しかし、この見解には必ずしも同意できない。現状のファイリング技術が指摘のような課題を抱えていることは、システムの開発者も、そして利用者も分かっているはずである。この限界を承知したうえで、スペースの削減という大問題に取り組んでいるのである。
◆『「超」整理法3 』 野口悠紀雄著、中公新書、1999/6
◆企業内のオーソドックスなドキュメント整理法としては、次の本が有用である。
・富士ゼロックス ドキュメントソリューショングループの『デジタルドキュメントの作成・管理技法』(日経新聞社、1998/11)
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