■ 立花隆 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 (2001.4.21)

とんでもなく題名が長い。『ぼくはこんな本を読んできた』の続編。3部構成、巻頭論文が「宇宙・人類・書物」、これが66ページ。本編が週刊文春に掲載した「私の読書日記」1995.11〜2001.2までの5年分、ほぼ300冊が紹介されている。巻末は、『「捨てる!」技術』を一刀両断する、これは文藝春秋の2000.12月号だかに掲載されたもの。

「宇宙・人類・書物」から、「そうか!」と共感した文章を抜き出してみよう。

◆書店の店頭というのは、一国の文化、社会の現状を伝える最高のメディアなのである。

◆なぜその本を紹介するのか
・その本が読む価値があるなら、そのことだけを手っ取り早く伝えてくれ。評価は自分で下すから、よけいな先入観を与えないようにしてくれ。
・本の本当の評価は個人的たらざるをえないのだから、当然それは読む人自身にまかせるのがいちばんである。
・書評子にできる最大のことは、「店頭で本を手に取ってみるきっかけ」作りをすること。
→情報の価値は、情報を与える側ではなく受け取る人が判断する

・本の中身についての情報をつめこんである。できるだけムダを省き、有効情報だけを圧縮して、濃密に詰めこんである。
・情報の中心は、その本が読む価値があるか否か。読む価値があるとして、どの点においてあるのか、である。それをできるだけ、要約と引用によって、本自体に語らせるスタイルをとっている。
・紹介型に徹している。面白い(大事な)サワリとなる場所を抜き書きすることと、エッセンスを要約して示すこと。本篇のネタばらしをやりすぎてはいけない。
→情報を圧縮して提示する

・思わずヘエーッと心の中で驚きの叫びを上げてしまいそうになる一節に出会ったときの喜びがいちばん大きい。
→他の人に伝える喜びもある

◆速読にはチャートを作れ
・読みにくい本をなんとか読んでしまう知的テクニック。第一歩は、その本の構造をつかむことにある。全体構造をチャートとして示す。どのような1冊の本も、1枚のチャートにすることができる。
・パラグラフの頭の文章だけを次々に読んでしまう。章か節の小見出しだけはちゃんと読み、図表もある程度見ておく。
・だいたいの本の流れがわかったら、もう一度頭に戻る。読みにくい本は、全文通読を試みては何度も途中で挫折するより、何度も軽くて粗っぽい読みを重ねていったほうが、結局はわかってくる。
→まず高速スキャンで大筋をつかむ。次ぎに、スキャン速度や視点を変えてもう一度読む

◆紙の本は電子メディアに勝る
・どこにでも持っていって、どんな場所のどんな状況下でも、読める。
・一覧性と速読性において、圧倒的にすぐれている。
・紙の本というモノ性を利用した多様な利用の仕方が可能になる。自由自在に書きこみをしたり、線を引いたり、自分にだけわかる記号をつけたり、ページを折ったり、付箋をつけたり、……。
・モノとしての魅力。モノとして所有する喜びもある。
→格納スペースと重量を何とかしてほしい

◆書物というのは、万人の大学だと思っている。何事かを学ぼうと思ったら、人は結局、本を読むしかないのである。生涯書物という大学に通いつづけなければ、何事も学べない。


◆ 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 立花隆著、文藝春秋、2001/4刊


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