■ 『独創力を伸ばせ』 ブレインストーミングの原則とは (2008.9.30)
ブレインストーミングの創始者とされるオズボーンが、この「集団アイデア発想法」とも言えるテクニックを採用したのは、1938年とのこと。今やアイデア創出の古典的手法として広く人口に膾炙している、このブレインストーミングを、オズボーン自身の著書に立ち戻り、古本のほこりを払って読み直してみよう。
よく知られているように、ブレインストーミングの基本ルールは次の4つである。
(1)よい悪いの批判はしない。出てきたアイデアに反対することは後まで控える。
(2)自由奔放を歓迎する。アイデアは自由奔放であればあるほどよい。
(3)量を求める。アイデアの数が多ければ多いほどいい。
(4)結合と改善を求める。他人のアイデアをもっとよいものに変えるにはどうしたらよいか。複数のアイデアをさらに別のアイデアにまとめるにはどうしたらよいか。
ブレインストーミングの根底には、独創的なアイデアを出すことと、そのアイデアを批判的に考えることを切り離すという原則がある。ひとつは、判断を先にのばす――よい悪いの判断をせっかちにやらないで先にのばすという原則。もう一つは、量が質を生む――量、量、あくまで量を求めるという原則だ。
我々は、アイデアを発想すると、すぐさま直感的に判断を下す傾向がある。そうではなく、判断を先にのばすという原則。アイデア創造の段階に制約を加えないということだ。こんな発言をしたら笑われるのではないかという恐れを取り除く。それに個々のアイデアの討議に時間をかけすぎることが避けられる。
アイデアの量が質そのものを向上させる。この点は、ブレインストーミング経験者が実感するところだろう。アイデアは多ければ多いほどよいのだ。いつも「他に案はないか?」と想像力にたずねつづけていなければならない。
ブレインストーミングの効果を上げるには、問題は一般的なものでなく、具体的なものでなければならない。一つの会議で2つ以上の問題と取り組まないことだ。グループ・ブレインストーミングは、基本的にはアイデアをもとめるような問題のためのものであって、判断を求めるために開かれるものではないことを認識すること。
グループ・ブレインストーミングは非常に生産的である。メンバーのひとりが一つのアイデアを考えつくと、すぐに別のアイデアに向かって想像をはたらかせはじめる。同時に彼のアイデアは他人の連想力を刺激する――連鎖反応とも。競争意識を刺激するからだという説明もできる。
準備段階では、とくにリーダーの役割が重要である。最初にしなければならないのは、問題を分析しておくこと。問題を一般的ではなく具体的なものにしておくことだ。たとえば、「新しい合成繊維を世の中に広める方法」という問題はあまりにも大きすぎて対象がはっきりしない。つぎのような具体的な問題に分けることだ――織物会社と工場にこの新しい繊維を紹介するためのアイデア、とか。目的の方向づけをはっきりと行えば行うほど、独創的なアイデアを生むための土壌が作られる。
会議のリーダーは、アイデアを促すような手がかりも準備しておく必要がある。刺激的な質問も役に立つだろう――他に使いみちはないか? つくり変えたら? 修正したら? 大きくしたら?小さくしたら? 代わりは? 調整しなおしては? あべこべにしては?組み合わせたら? ……
注意しなければいけないのは、グループ・ブレインストーミングはアイデア発想の一段階であり、独創的問題解決過程の一部にすぎないということ。つまり、グループ・ブレインストーミングは、何かを補完するものとしての位置づけにあることに留意しよう。
◆ 『新版 独創力を伸ばせ』 A.E.オズボーン著・上野一郎訳、ダイヤモンド社、昭和33(1958)年/10月
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