■『企業参謀ノート [入門編]』 大前理論の真髄 (2012.9.28)




いまさら大前研一でもないと思うのだが。書店の店先に平積みされているのをみるとつい手を出してしまう。あくの強い吸引力に負けてしまう。

1975年に刊行された『企業参謀』は、1999年には正・続合わせた『新装版・企業参謀』として1冊の本にリニューアルされた。毎年版を重ね、累計50万部のベストセラーとのこと。→http://www21.ocn.ne.jp/~smart/sanbouMx.htm
現実の読者層は企業の課長クラスがほとんどのようだ。なんとか、若い人に読んでもらおうということで、大前理論を短時間で習得できることを目的に、この入門編が企画されたらしい。

この本のテーマは簡単だ、「自分の頭で答えを見つけ出す方法を手に入れなさい」ということだと大前研一は言う。日本の社会に本当に必要とされているのは、自分で考えることができる人。つまり「参謀型」の人材である。本の要所には大前の言葉がはさみ込まれているが、「自分で考えること」というメッセージが強く繰り返される。


大前の言葉を抜き出してみよう。
◆最初から答えを持っている参謀など存在しない!まずは、自分の頭で考えることから始めなさい!
◆ケーススタディなどもあまり意味がない。過去に学ぼうにも環境が急速に変化しているので、そのままでは参考にならないからだ。だから自分の眼で見て、自分の頭で考えて、正解を見つけ出す能力が求められる。つまりロジカル・シンキング=論理的思考が必要なのだ。
◆人と違う人生を生きるためには、頭をフルに使わなくてはならない。進む道が危険かどうかを察知するために、自分が置かれた状況を素早く正確に分析する必要がある。


こんな勉強法を勧めている。
◆週休2日の土曜日の午後、何をしているだろうか?
その時間を有効に使うかどうかで、一発で差がつくんだよ。土曜の午後、4時間を「自分の頭で考える」時間帯にするのだ。
例えばトルコ事業展開をするにはどうしたらいいか、インドネシアでうまくいっている会社はどんなところか、とかね。これらは全部、ネットで調べられるんだ。サイバーで7、8割の仕事ができちゃう。
こんな時間の過ごし方を習慣化すれば、土曜の午後で大差がつくんだよ!

終わりに、「考えることを楽しみなさい!」と。そうすれば、日本人に欠けているブレークスルーする力が必ず手に入る!


◆ 『企業参謀ノート [入門編]』大前研一監修・プレジデント書籍編集部編、プレジデント社、2012/8

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