■ 東京リング第3夜 《ジークフリート》 (2010.2.11)





新国立劇場 2010.2.11(木)祝日
開演は14時、終演は20時という、合計6時間の長丁場。
幕間の休憩がそれぞれ50分・45分のせいか。それとも収録があるとの掲示があったがそのためか。

本日が初日とのことで、やや進行がひっかかるときもあったが、
長時間にかかわらず、満足度の高い、たっぷりワーグナーを見た聞いたという
充実感のある公演であった。
キース・ウォーナーの演出も違和感を感じなくなってきた。
指揮のエッティンガーと東フィルの発揮した力が大きかったと思う。

主役のジークフリートも良かった。ミーメも芸達者でうまい。
車椅子で動き回るアルベリッヒも、屈折した性格がジークフリートと対照的。

第3幕の幕切れ。ジークフリートとブリュンヒルデの二重唱。
この楽劇の大きな山場・肝と思うのだが、ちょっとダレ気味の感を受けてしまった。
ブリュンヒルデの二面的な感情が、うまく描き分けられていないようだ。
平板な歌唱では長丁場を聞き通すことはつらい。
《神々の黄昏》も同じブリュンヒルデらしいのだが、もうちょっとパワーアップを期待したい。

オケピットに入った東フィルは目覚ましい。先日の文化会館は何だったのか?
好不調が激しくないか。確か前回の《ジークフリート》公演ではピットにN響が入っていたと思うのだが、今日の東フィルはN響に負けていない。
グングンと張りつめる低弦群や鳴り響くホルンは、むしろN響を凌駕していたとの印象だ。さすがに最終幕はやや息切れ感があったかな。
前回公演(2003.4.1)の様子 → こちら

第1幕。現代的なリビングを舞台にキラキラした舞台。
ノートングを鍛えるのに、フードプロセッサーや電子レンジを駆使している。
例の矢印は第2幕で華々しく登場する。
森の小鳥は大活躍。ぬいぐるみを着たり脱いだり。ピアノ線でつられての空中飛行もあった。ユーモアも要求されたようだ。


<キャスト>
ジークフリート:クリスティアン・フランツ
ミーメ:ヴォルフガング・シュミット
さすらい人:ユッカ・ラジライネン
アルベリヒ:ユルゲン・リン
ファフナー:妻屋秀和
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
森の小鳥:安井陽子

演出:キース・ウォーナー
指揮・ダン・エッティンガー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


【東京リング:ニーベルングの指環】 公演一覧

序夜    《ラインの黄金》  2009.03.18
第1夜  《ワルキューレ》  2009.04.06
第2夜  《ジークフリート》 2010.02.11
最終夜 《神々の黄昏》   2010.03.31

【前回公演】→こちら  《ジークフリート》 2003.4.1、《神々の黄昏》 2004.4.3


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